舌下免疫療法~アレルギー性鼻炎の根本的な体質改善を目指して~
アレルギー性鼻炎の患者さんは年々増加しており、通院されている患者さんは低年齢化しています。小さなお子さまから大人の方まで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどのつらい症状に長年悩まれている方が多いと思います。
抗アレルギー薬を内服したり、点鼻薬や点眼薬を使用して、症状を抑えたり、和らげたりする対症療法を行いますが、薬が効きにくかったり、薬による眠気がきたりして、日々の仕事や学習に影響が出ることも少なくありません。
その中で注目されている治療法の1つに、「スギ花粉症」と「ダニによる通年性アレルギー性鼻炎」に対する舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)があります。
アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、患者さんの根本的な体質の改善を期待できる画期的な治療法です。
これまで、アレルゲン免疫療法は皮下注射で行われていたのですが、近年、舌の下で治療薬を保持する「舌下免疫療法」のお薬が登場し、自宅で1日1回薬を服用するだけでよくなりました。
3~5年間継続すると最大効果を得られることができ、治療中止後も長期にわたり、症状をおさえる効果が続き、アレルギー治療薬の減量・中止が期待できます。
この舌下免疫療法にご興味のある方、ご自身やお子さまに治療の適応があるかどうかお知りになりたい方は、ぜひ一度診察にお越し下さい。
適応
「スギ花粉症」 あるいは 「ダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎」と確定診断を受けた方
※適応年齢は5歳以上65歳未満の方ですが、口腔内(舌の下)で1分以上薬を保持する必要があるので、服用の仕方が理解できる小学生以上が望ましいと思います。
治療開始時期
●スギ花粉症:6月~12月の間(花粉の飛散していない時期)
●ダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎:1年中いつでも可
※2つの薬剤の併用も可能(ただし、同時開始ではなく1か月程度ずらして開始します)
治療のスケジュール
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問診と血液検査
これまでの症状や治療歴などを詳しくお聞きします。
血液検査を行い、アレルギー性鼻炎の原因物質であるアレルゲンを特定します(スギ、ダニ、ハウスダスト、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなど)。
「スギ花粉」あるいは「ダニ」がアレルゲンとわかれば、舌下免疫療法を治療として選択できます。 -
初めての投与は必ずクリニックで行います
服用の仕方を確認しながら、診察室で飲んでいただきます。服用後30分間は院内で重度のアレルギー反応が出ないか観察します。
※舌の下に溶けやすい錠剤(無味無臭)を1分間留め置き、そのあと飲み込みます。
※服用後5分間はうがいや飲食は控えて下さい。
※服用前後2時間の激しい運動、入浴、飲酒は避けましょう。 -
その後は1日1回自宅で服用していただきます
最初の1週間は少ない量の薬剤を服用し、問題なければ2週目から増量します。
安定するまで1~2週おき、その後は月1回の通院が必要です。 -
治療期間は3年以上が望ましいとされています
舌下免疫療法のお薬は、ダニはもちろん、スギ花粉の場合でも1年を通して毎日服用を続ける必要があります。最低2年間は治療を継続し、効果が確認されれば、合計3~5年間継続します。
長く続けるほど効果が持続しやすいと言われていますので、少なくとも3年以上は頑張って続けましょう。
効果
舌下免疫療法は現在、「スギ花粉」と「ダニ」によるアレルギー症状を根本から治すことのできる唯一の治療法です。
しかし、すべての患者さんに効果があるわけではありません。
約20%の方は症状が消失し、60~70%の方は症状の改善がみられるといわれています。それにより、これまで使用していた薬の減量や中止が期待できます。
<効果が期待できる時期>
●スギ花粉症:治療開始後はじめてのスギ花粉飛散シーズンから
●ダニアレルゲンによる通年性アレルギー性鼻炎:治療開始して数ヶ月程度から
費用
診断・検査・治療はいずれも保険適応となりますのでご安心ください。
※大阪府内のお子さまは子ども医療証が使えます。
※3割負担の方の場合は、診察代とお薬代で毎月3,000~4,000円程度です。
舌下免疫療法が不適当な方
- スギ花粉やダニがアレルゲンではないアレルギー性鼻炎の方
- スギ花粉やダニ以外にも、他のアレルゲンに対し重度のアレルギー反応がある方
- 重度の喘息、あるいは重度のアトピー性皮膚炎を合併している方
- 自己免疫性疾患や免疫不全の方
- 全身ステロイド投与や抗がん剤などを使用している方
- 本薬剤あるいはスギ花粉やダニのエキスでショックを起こしたことのある方
- 妊娠中又は授乳中の方(2-3年以内に妊娠を希望する方も含む)
- そのほか、医師が不適当と判断した方
詳しい情報は下記ホームページもご参照ください